2005年08月14日

The Manchurian Candidate (1962)

61m.jpgまた飽きもせず古い映画のお話を。(新しい映画も好きです!)
でもアンティークでも楽しむようで、面白いのです、過去の作品を観るのって。(笑)

去年の大統領選の最中に、この映画のリメイクが封切りになりました。
メリル・ストリープは好きだし、ジョナサンデミ監督(羊達の沈黙、フィラデルフィアなど)もこういう系統できそうだし、内容も政治、陰謀がからんだサイコ・ドラマで面白いかな?と興味をそそられましたが、映画好きでpuristの夫に、『1962年のオリジナル版を先に見ようよ!』と説得され、ビデオ屋で借りてきました。

manc.jpgオリジナル版についてはあの、マフィヤの大歌手、フランク・シナトラが出演しているとしか知らなかったので、あのマイウェイを歌った、シナトラなんて、それこそ映画でもマイウェイで、浮いてるんじゃないかな〜なんて、ちょっと偏見もあったのですが、後で新作と比べても面白いだろーなっと思って、観てみました。

これが、意外に大当たりの映画だったんですよ!
フランク・シナトラのちょっとくさ目の演技も、鼻につかない程度にFilm noirのフォーマットにはまっていて、ダメージが抑えられていましたし、催眠術にかけられたヒーロ役が無名ながらとってもいい味を出していて、印象深かったです。
権力欲の強い母親役のアンジェラ・ランスベリーも、凄みがありました。

白黒映画のエレガントな画面に、前衛的にも捉えられるシュールな場面もあり、斬新!って唸った所も。
今観ても、とっても新鮮で面白いと思います。

一番印象に残っているシーンは、主人公の部隊が拉致された先の満州で催眠術にかけられるシーンです。
これが、ローテクなのに抜群のアイデアで、共産党の幹部が一同座っている講義堂の場面が、カメラのアングルが代わると、急に上流階級の女性達がガーデニングのプレゼンテーションを観に来ているというシーンとなり、始めは観ている側も、この唐突な場面転換が何故なのか解らないようになってます。
夢と現実の奇妙なギャップを浮かび上がらせながら、何の変哲もない出来事のように静かに進行していく所が抜群に効果的!

シンプルに3通りに撮った場面を順序を混ぜて編集しただけなのだそうですが、次第に夢からさめて、自分がどこにいるのか解らないような、不思議な感覚を味わえます。特殊効果一切ナシで、こういう表現ができるんですね〜。
シンプルだけど、絶妙なアイデアでこれはかなりクリエイティブ!

この映画のちょい役で、ヒッチコックのサイコで有名なジャネット・リーが出演しています。美しいです。
この映画の時代設定は、50年代初頭、過激右翼派、マッカーシー上院議員が、赤狩りに腐心していた頃と同時期とされ、マッカーシ上院議員をモデルにしたキャラクターも登場します。
シナリオでは実は赤狩りを推進する上院議員が共産党に繋がっているという、陰謀のどんでん返しとなっていて、当時の共産党によるアメリカ乗っ取りへのパラノイアを風刺したものになっています。

manc2.gif夫の出世させて権力を狙おうと、周囲の男を自在に操る恐ろしい女丈夫(アンジェラ・ランスベリー)と、もの静かで、芯の強さを感じさせながら、つくし型の女性(ジャネット・リー)や悲劇の主人公の純真な恋人とのコントラストなども、古来から存在する善と悪の女性像と、50年代アメリカの抑圧された価値観を反映しているようで、印象に残っています。

最後に明かになる影の黒幕。
これが一応意外な設定なのですが、ドラマ的にはやっぱり納得!で、フロイト的な読みを入れても面白いです。
ネタバレになるのでこれ以上は言いません!って、もうバレていますか?

この映画は、1993年のソビエト崩壊まで、共産党圏内では公開禁止だったそうです。
おまけに63年の封切り直後にケネディー大統領の暗殺があり、上映自粛。
80年代にアートシネマ系でひっそりと再上映されたそうです。
一般の知名度は低いのですが、映画好きには有名な一作らしいです。

スリル満点、50年代の雰囲気も映像も魅力的だし、掘り出し物の秀作でした。お勧め!
何だかリメイク版を観る気がなくなってしまいましたけど。
近いうちに比較のために観てみようかな〜と思っています。
またつい長々と〜。(汗)
最後までおつきあい、ありがとうございました!


追記:
リメイク版も観ました。はっきり言って、がっかりでしたネ。
オリジナル版に漂うギリシャ悲劇的な色合いは払拭されてましたし、
風刺も何だか鋭さを欠いていましたし。
メリル・ストリープはいい俳優なのに、脚本の犠牲となっていてもったいないっ!
オリジナル版★★★★ リメイク版★★半
もちろん独断と偏見の判定で〜す。(5つ星満点)

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posted by march-hare at 03:04| Comment(5) | TrackBack(0) | 映画 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
じぇ〜んじぇん知りませんでした。
今度レンタルしてみようかしらん♪

あたい・・・シナトラ好きなんですよぉ。歌はね〜
マフィアだったことは、ケネディ暗殺関係の本を読んで知り、かなりショックでした(ToT)映画も、なんか悪いことできなそうな感じの良い役だったし・・・
I've Got You Under My Skin♪とかかけて、子供と踊ってみたりして・・・
フランクシナトラの歌は『アメリカ的』ですよね〜
すみません。今日も関係ないところで、反応しちゃって。

ブログで、オススメされると、ここ掘れワンワン状態です。
いつになるか解りませんが、見たらまた書きに来ますね♪
Posted by chika at 2005年08月15日 00:36
chikaさん
シナトラの歌って、歌詞もムードもホント、アメリカのイメージって感じですよね。

昔はあんまり興味がわかなかったんですけど、今となっては聞いてみると雰囲気出ているのが解って、なかなか〜って思います。I've got you〜はいい曲ですよ!
不思議な事に、子供の時の学童保育の施設で、閉館時にかかる音楽が、いつも『マイウェイ』でしたの。日本で。
だからあれを聞くとなんだか急いで出て行かなきゃって気になっちゃう。(笑)パブロフの犬状態です。

この映画、視覚的にもおしゃれだと思いましたよ。
シナトラがカンフー格闘(?!)するクサ目のシーンも、ちょっと笑えるし、そんな所もシュールな味を出してます。ちょっと時代の風潮が反映されて、アジア人に対する偏見がキャラクター設定に出てるけど、そこは、大目にみておいてね。
機会のある時に、観てみて下さい!
Posted by march-hare at 2005年08月15日 11:03
お帰りの音楽がマイウェイ!

面白いですね〜。
マイウェイコレ即ち、家路www
学童の所長さんの趣味だったんでしょうか?
子供相手に洒落てるのかな?
興味深い所長さんです。

marchさんのお別れソングになっちゃたというのがまたwww
Posted by chika at 2005年08月16日 00:43
chikaさん
面白いですよね〜!
どういうつもりだったんでしょう??
今でもあの曲を聞くと、何だか落ち着かない!(苦笑)
歌詞をよく聞いてみると、かなり唯我独尊な子供が育ってしまうような感じですけど。(また苦笑)

この前、マイウェイの作詞作曲をしたポール・アンカのインタビューがラジオ番組であって、マイウェイが流れた時には、急に理由もなく荷造りしたくなってしまいましたヨ。あはは。
Posted by march-hare at 2005年08月16日 01:23
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